世界の木材と樹種

INTRODUCTION

木材・樹種紹介

世界中でたくさんの
木材が建築に使われています。

中国は国土が広大で、南から北へと6つの温度帯に分かれています。その中でも、大連事務所がある遼寧省大連市は日本の気候に近く、四川省成都市は年中温暖・湿潤で、ともに四季がはっきりしているため、日本にあった木材が期待できます。また、天然資源が非常に豊富で、樹木の種類も、高木だけで2,800種類以上にのぼります。環境保全と建設事業の必要性から、大がかりな植樹造林が持続的に行われており、現在世界で人工林面積が最大の国でもあります。

東南アジアは、平均気温が25度以上で、大部分が熱帯であり、熱帯特有の急な雷雨、スコールが夏に多くみられます。
その蒸し暑さゆえ、利用されている用材は、硬質のものが多いです。
硬い木というのは、長い年月をかけてゆっくりと成長すると考えるのが普通ですが、熱帯地域であるため意外に成長の早い木が多いです。硬い木は目がつまっていて油分もあり割れにくいので、外材に適しています。

北欧の地形はほとんどが平坦で、木の北面にも均等に日が当たることによって、芯が幹の中心に真っ直ぐ育ちます。そしてアテがなく寸法安定性の高い、建築に最適な材料となります。夏は白夜になり1日の日射時間が長く、伐採期を迎えるまでにゆっくりと成長するので、年輪の詰まり方と木肌の美しさが最高級と言われています。

北米の代表的な木材産地カナダは広大な国土のおよそ半分が、偉大な自然遺産である森林に覆われています。気候、地質も東西南北で大きく変わっており、植生も比較的はっきりと区分されています。
マルミカナダランバーが位置するブリティッシュ・コロンビア州はカナディアン・ロッキーの西に位置しています。この土地は、春夏期には樹木の成長に適した日照時間と豊富な雪解け水に恵まれ、さらに暖流の影響を受け温和な気候を持ち、ほぼ日本の本州部に近い気候条件のため日本の樹種と似通った材観の樹種が数多く分布しています。

日本は四季折々の気候があり、気温や湿度の変化が大きい地域です。多様な気候は木の成長や特性にも影響を与え、独自の木材文化を形成しています。
湿気を避けることが重要な日本では、湿度に強い樹種が好まれ、軽さと強さを両立する杉や、防腐効果がある桧が建築や造作に適しています。寒暖差が大きい気候は木の年輪をはっきりとさせ、美しい木目が生まれる要因となり、伝統的な職人技と共に、日本の文化と景観を彩っています。

この地域で採れる木材

01 木の特性について

木の体積の半分以上は空気でできています。木を顕微鏡で見てみると、乾燥したヘチマのように隙間だらけになっています。そのため水と木を全く同じ体積にした時、木の方が密度が低くなるため水に浮きます。しかし、地球上には水より密度の高い木も存在しており、世界一重い木材であるブラックアイアンウッド(インドネシア、マレーシア原産)やリクナムバイタ(メキシコ、コロンビア、ベネズエラ原産)は水に沈みます。
木は伐採された後も生きていて、塗装などで塞がれていない木は湿気を吸ったり吐いたりします。そのため、湿度が高い時は室内の湿気を吸い込み膨張し、湿度が高い時は木材から湿気を放出して縮みます。つまり、周囲の温度や湿度に合わせて空気中の水分を吸放出することによって室内の湿度を調整しています(調室効果)。
木は細胞の集合体で、細胞の中には熱を伝えにくい空気が含まれています。そのため、木の熱伝導は鉄の約500分の1と低く、とても断熱性に優れています。
杉の断面1㎤あたりに、4万~30万個もの細胞が詰まっており、その断熱効果は住宅の断熱材に匹敵すると言われています。
木はいい香りを与えてくれるだけではなく、特に桧・杉・ヒバ・トドマツには消臭効果があると言われています。また、木の精油には細菌やカビ、害虫などの外敵を寄せ付けにくい殺菌作用のある物質を発散すると言われており、細菌類の増殖を抑えてくれています。

02 木が人間にもたらす効果について

木の香りは、人間にリラックス効果を与えるということが科学的に証明されています。木の香りの成分は「フィトンチッド」と呼ばれており、この成分には血圧、脈拍、そしてストレスホルモン濃度を低下させる癒し効果があると言われています。
木は反射光をコントロールし、柔らかな明るさを作り出します。木の表面にはミクロ単位の細かな凸凹があり、これによって光を散乱させて弱めます。そのため、人の目には優しい光となって反射します。
木は紫外線をよく吸収するため、木から反射される光にはほとんど紫外線は含まれていません。目や肌に与える刺激も小さくなることから、木は人間にとって優しい材料であると言えます。
木の表面にはたくさんの小さな穴が開いています。その穴が音を適切に吸収し、雑音が軽減され、聞こえる音が柔らかくまろやかになります。

03 木の強度について

鉄やコンクリートなどの建材は、新しい時が最も強く、古くなるにつれて強度が低下していきます。しかし木は、時間が経つと乾燥の度合いが高まり、強度が増すという性質があります。例えば、檜は伐採されてから100年から200年もの間、圧縮や引っ張り、曲げに対する強度が高くなり続けると言われています。
木の強度には圧縮強度、引張強度、曲げ強度、せん断強度、めり込み強度などいくつか種類があります。木の強度の高い順番に並べると、曲げ→圧縮→引張→めり込み→せん断と表すことができ、「曲げ強度」が最も高いと言われています。
木(杉)・鉄・コンクリートを同じ重さで比較した際、木の引張強度は鉄の3倍、コンクリートの120倍。木の圧縮強度は、鉄の3倍、コンクリートの10倍と言われています。鉄やコンクリートは経過年数と共に劣化しますが、木材はメンテナンスをすれば経過年数と共に強度が上がっていきます。
木は鉄よりも熱に強く、250度以上にならなければ燃えないと言われています。燃えたとしても表面が炭化して、その炭化した層がバリアとなり内部への被害を遅らせることで長い時間強度を保つことができます。そのため、平常時に要求される寸法よりも少し断面を大きくする「燃え代設計」を行うことによって、長時間の火災でも倒壊しない建物を造ることができます。

04 木と環境について

地球全体の光合成の約半分は木によって行われています。木がなくなると、地球上の光合成が半減し、光合成に使用される二酸化炭素の量が少なくなるため、空気中の二酸化炭素の濃度が高くなってしまいます。
森林内には、木をはじめとする植物の根が広がっています。その中でも木の強い根が土壌をしっかり繋ぎとめてくれているため、土砂崩れなどの自然災害を防いでくれます。
伐採されずに放置された木は、腐敗しやすく二酸化炭素の吸収率も下がることから地球温暖化を促進してしまいます。木や天然の植物の健康を保ったり、資源として活用したりするためにも森林伐採は必要とされています。

05 木の年輪について

年輪は別名「成長輪」とも呼ばれ、1年間の樹木の成長を見ることができ、毎年夏から秋にかけてゆっくりと形成されます。年輪の色の薄い部分は、春から梅雨にかけて成長した部分で、急成長したため木の細胞が少なく色が薄くなっています。
色の濃い部分は夏から秋にかけてゆっくりと成長した部分で、時間をかけて成長したため木の細胞が詰まっていて色が濃くなっています。
木の年輪は1年にひとつずつ増えていくため、年輪を数えることでその樹木の樹齢がわかります。 そして、年輪の幅からその年の気候も知ることができ、気温が高い年は年輪幅が広く、気温の低い年は年輪幅が狭くなると言われています。
年輪は雨季と乾季、それに春夏秋冬などの周期的な気候変動による成長速度の違いがもたらすものです。そのため、周期的気候変動がほとんどない熱帯では温度や降雨に季節変化がないため、木に年輪が見られません。

06 木材の保存方法について

木材を重ねて保管した場合、木の幅が広いほど反りが出やすいという特徴があります。そのため、木材を重ねる際は、1枚目は木表、2枚目以降は木裏の順で積み重ねると反り返りを防ぐことができます。(木の中心側を「木裏」、外皮側を「木表」と言います。)
木材を立てて保存すると場所を取らずコンパクトに保管できるだけではなく、木の水分が出やすくなります。木は切られる前には根から葉っぱへと水が吸い取られるため、木材を立てかけるときにも根元を上、頭を下にして立てかけることでより乾燥しやすくなります。
木材は乾燥させておくことでカビの発生を防ぐことができます。木材同士が接触している部分はカビが発生しやすく、1箇所でカビが発生するとそのカビが別箇所に移ってしまいカビの被害が拡大する可能性があります。そのため、木材と木材の間に空気が流れる隙間を設けて保存することで木材の乾燥を促進し、カビの発生を防ぎます。